産業社会学部出身というと、驚かれることがあります。ロボットを作る今の仕事とは無関係に思えるからでしょう。確かに、学生時代の学びが技術の面で直接活かされたということはありません。でも、そもそもロボット作りのような新しい分野には、それを体系的に教えてくれる学科や教科書は世の中に存在しないんです。必要なのは、自分で選択し、学んでいく姿勢。趣味に没頭しつつ、勉学においては、学びたい科目を履修することもあれば、親しい友人と同じ授業を選んだり、単位の取りやすさで選択したりと、広い意味での生き方を学んだと思っています。仮に18歳に戻ったとしても、同じ選択をするでしょう。
卒業後、京都大学に進みましたが、立命館大学でお世話になった先生が訪ねて来られた時には驚きました。最近でも東京校友会の企画で講演し、出席した方からご連絡をいただくなど大きな反響がありました。日頃多くの方にお会いしますが、偶然校友であるということが分かり、仕事がトントン拍子に進むという事も実際にあります。
今、本業を活かして小学生を対象としたロボット教室を展開しています。子どもたちにとっては、ロボットとの出会いが、科学や学問への関心を持つきっかけになるかもしれない。純粋な彼らと関わることに大きな喜びを感じています。日々、学生の前で教鞭を執る先生方の真似はとてもできませんが、年に2回くらい大学生対象にも授業をしています。
卒業して年月が経った今、母校を見て感じるのは、その経営センス。入試方式の工夫や、全国に行きわたるプロモーション活動は、着実に実を結んだように思えます。幅広い地域から志願者が増加し、結果として優秀な学生が集まる。すると研究成果も上がり、自ずと大学のレベルも向上する。理想的な好循環です。合理的な戦略が、確実に大学のブランド力を向上させたのでしょう。私も経営者の一人として、勉強になりました。
卒業後にもどんどん大学のネームバリューが上がることは、率直に嬉しいですね。母校の躍進は、校友にとって大きな励み。その存在がいかに大切であるか、今になってよく分かります。
校友会が設立100周年を迎えるこのタイミングは、我々校友にとっても大学にとっても重要です。立命館ブランドを活用できるのは校友の特権。自分を後押ししてくれる仲間が世界中にいるという事実を、積極的に活用していく。そして、それぞれの活躍によって輪を広げ、次世代につなげる。生み出されたコト・モノを母校に還元する。この100周年事業が、校友会の新たなスタートになればいいですね。世界中に約36万人も校友がいるのです。意外なところで校友同士の出会いがあり、校友の互助の元に社会に貢献出来ればと感じています。