岸田:衣笠には卒業後も何度か足を運んでいますけど、やっぱり懐かしい気持ちになりますね。新しい建物ができても、変らない雰囲気があるというか。教室って、そこで集中して勉強するための場所なんで、閉鎖的にならざるを得ないじゃないですか。だから、授業が終わって外に出た時にどんな空気を吸うのかって、すごく大事。その点、衣笠の落ち着いた環境は、すごく恵まれているなと素直に思います。学生さんは僕らの頃に比べるとだいぶオシャレになった気はしますけど(笑)
佐藤:確かに、昔はもっと庶民的な感じがしましたよね。でも、サークルのボックスがあった学生会館はびっくりするくらい何も変ってない。学生時代の大半を学生会館で過ごしたから、一歩入るだけで、記憶が蘇ります。音楽活動しかしてなかったけど、それが許される自由さがあった。ま、もっと勉強しとけばよかったかなという後悔もありますが(笑)
岸田:くるりは2016年に結成20周年を迎えたわけなんですけど、ロックコミューンのボックスでその記念ライブをしたんですよ。僕らは「公開練習」って呼んでいて、最初は誕生日会のような内輪で楽しむイメージだったんですけど、撮影が入ったり、予想以上に大事になっちゃって。
佐藤:もっくんを含めたオリジナルメンバーでの演奏ということもあって、ファンの皆さんがすごく喜んでくれましたね。僕自身、結成当時の3人の独特の間合いがすごくしっくり来て。20年以上経った今でも、初めてこのメンバーで音を鳴らした時の衝撃は覚えていますから。
岸田:周年って、何も特別なものじゃなくて、ずっと走ってきた中での給水ポイントみたいなものじゃないですかね。「Creating a Future Beyond Borders」っていうのも、僕なりに解釈すると、“現在地を確認すること”やと思っています。未来も過去も、自分自身を考える上で最も客観視できるのは、今、どこに立っているのかってこと。先のことばかり考えすぎて、今やりたいことがおざなりにならないようにしたいですね。
佐藤:壁を越えるというのも、そのための手段よりまず、何のために越えるのか、越えてどうなりたいのかを考えますね。僕らの場合、やっぱり新しい音を作りたいからなんですけど、そのためのモチベーションをどうやって維持するか。作品ごとに最初からコンセプト決まっている時もあれば、作っていくうちに見えてくるものもあって、同じことやっているつもりでも昔とは違う新しいものが生まれるんですよね。それがバンドの醍醐味であり、僕らにとっての「Beyond Borders」なのかもしれません。
岸田:壁って、もちろん越えなあかん時があって、越える気持ちを持ち続けることは大事。でも、そんな壁、越えなくてもひゅって回ったら前へ進めることだってある。あんまり難しく考えず、自然体でいたいですね。気合入れすぎるとしんどいし(笑)
佐藤:とはいえ、校友の皆さんの恥にならないよう、大いに頑張りますので、応援よろしくお願いします!
岸田:それは僕も同様に思っています。35万人もいれば、どこかでお目にかかる方もいるでしょうから、その時はよろしくお願いいたします。