在学中に同級生と立ち上げた会社で、「誰もが使いやすいユニバーサルデザイン」を提案しています。企業理念は「バリアバリュー」。「障害があってもできること」ではなく、「障害があるからできること」に挑戦しようというこの考えも、在学中に生まれたものです。
幼少期から車いすで過ごしてきた私にとって、自分の障害を受け入れることは容易ではありませんでした。そんな自分を変えたいという思いから起業を志し、車いすでも通えるBKCにある経営学部を選びました。入試直前の事故で大怪我を負いましたが、どうしても諦めることのできなかった私は、「試験会場にさえ来てくれれば、できる限りの配慮はします」という職員さんの温かい言葉に励まされ、入院先から民間の救急車でBKCへ向かい、寝たきりの体勢で試験を受けました。
その甲斐あってなんとか合格できた立命館大学では、共に起業することとなった友人、会社を経営する際に必要な会計知識を教えてくださった先生など、多くの出会いに恵まれました。学内のインキュベータ施設に入居していたIT企業で営業のアルバイトをしたことも、大きな自信につながっています。車いすで訪問できる先は限られていましたが、その分同じ営業先に何度も顔を出すことで、「また車いすの垣内が来た」と覚えてもらえるようになりました。営業成績でトップになった時、アルバイト先の社長からこう言われました。「歩けないことに胸を張れ。それはお前にとって強みだから」と。以来、この言葉は人生においても事業においても、私の道しるべとなっています。
立命館憲章には、「未来を信じ、未来に生きる」と明記されています。立命館の学園ビジョンR2030には、「挑戦をもっと自由に」と掲げられています。私が今、未来を信じ、今日を生きられているのは、私に挑戦の機会を与えてくれた教職員の方々がいたからです。4年間の大学生活では多くの不便もありましたが、温かいサポートのおかげで卒業を迎えることができました。バリアはバリューであると気づくことができた学生生活を、もっと多くの後輩が送れるように。誰かと比べて卑屈になることなく、前を向いて歩けるように。もっと多様な学生が学び、可能性を広げられる。母校・立命館にはそんな学び舎であってほしい。そして彼らが社会へと羽ばたいた時、その多様性を認め合える校友会であってほしいと願っています。
仕事が遅い、うまく話せない・・・・・・。障害のある方に限らず、36万人の校友一人ひとりに違った悩みやコンプレックスがあることでしょう。ですが私は確信しています。私が歩けないことに価値を見い出せたように、一見マイナスなことでも、視点を変えればプラスに変換できるということを。ご家族や身近に障害のある方がいるのなら、同情ではなく期待の目を向けてください。バリアはバリューになる。このメッセージを校友のみなさんと共有し、共に社会へ発信していければと思っています。