林 外司隆さん(タイ王国校友会前会長)
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- 2016.12.08
タイ在住歴20余年。2008年~2009年からはタイ王国校友会の4代目会長を務められた林外司隆さん(’72産社)に、卒業後の母校との関わりや、タイでの暮らし、校友会設立100周年に向けたメッセージをお聞かせいただきました。
母校の広報に携わって
1972年に産業社会学部を卒業した後は広告会社に就職しました。私立大学の広報なども担当していましたから、仕事を通じて母校に関わる機会もありました。当時、大学の広報といえば次年度の入試概要を伝えるだけのものが主流。ところが企業の特色を打ち出すCI(コーポレートアイデンティティ)の運動が起こったように、大学においてもどうイメージアップしていくのかという流れが全国的に起こりつつありました。立命館大学もその流れに乗って国際関係学部を設置したり、スポーツに力を入れたり。私も職員の方と一緒になってそのPRのお手伝いをしたり、広報用の映像も製作しました。もちろん仕事ですから他の大学と比べて特別扱いすることはできません。でも、内心は嬉しく誇らしい気持ちがありましたね。
IT革命をタイで経験
タイに拠点を移したのは、1995年頃。日本での仕事を20年ほど続けた後、新しいとこにチャレンジしたくなったんです。その頃のタイに既存のマーケティング資料は一切なく、その調査から始めてみようと。それからは友人と一緒に新たな事業を立ち上げたり、外資系企業と組んで仕事をしたり、実に様々なことに取り組みましたね。この間のIT環境の変化はすさまじく、渡泰した頃の固定電話は、誰につながるかわからないほど混線するのが当たり前の状態でした。そのこともあってタイでは携帯電話の普及が早かったし、インターネットが台頭してからは、それまで空便を使って郵送していたものが、メールで済むようになりました。外国にいながら、日本とのやりとりも他の国とのやりとりも簡単にできるようになったのです。
多様化する価値観を前に
そうした変化の中で、校友会の存在価値も変わりつつあるように思います。私が移住した当初は校友会に限らず、県人会など日本人コミュニティに勢いがありました。はじめてタイ王国校友会に参加した時は、こんなに立命館の卒業生がいるのかと驚いたものです。でも、オンラインでのネットワークが充実していくにつれ、よりどころとしての機能が薄れてきたのでしょう。世代によってニーズも違うでしょうし、乗り気でない人を無理に誘うこともできません。ただ、私自身は昔話をするのが楽しいし、校友会に行けば会いたい人に会えるという思いで続けてきました。校友同士でビジネスがスムーズに進んだケースもあるけれど、そうしたメリットよりも、校友同士で食事をしながら母校を懐かしむ場にしたいと思っていましたから。
100周年は母校の歴史を知る機会
母校の前身は中川小十郎による京都法政学校で、その精神は西園寺公望による私塾立命館から受け継いでいます。今、その歴史を知っている校友がどれだけいるでしょうか。私はたまたま仕事で母校の広報に携わっていたから知ることができたけれど、多くの校友にとってはあまり意識されないままかもしれません。校友会設立100周年を機に、校友会の歴史はもちろん、母校の原点を振り返ることができればいいですね。