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帰らざる衣笠での日々

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藤本 秀行さん
1989年卒/経営学部経営学科
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2018.2.21
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帰らざる衣笠での日々

昭和60年から平成元年までを衣笠キャンバスで過ごした。当時はインターネットやスマートフォンも普及しておらず、その分情報に踊らせられることもなくいい時代だったと思う。
在学中に長州と鶴田のただ一度の対決を生観戦できたのもいい思い出である。

当時は何かあると喫茶店で語り合っていたものである。プロレスや映画や異性のことなど、とりとめもなく語り合っていたものである。以学舘の裏道にクラシック喫茶店があった。憧れの女の子にたまたまその喫茶店がある通りで出会った時に「この子とここで、お茶を飲みたいな」と思ったのだが、誘うことは出来なかった。言い出すことは出来なかった。淡い思い出である。
衣笠という都会の喧騒から離れた空間で、過ごせたのは本当にいい経験だったと思う。

色々と失敗や人に迷惑をかけたことも多かった。あの当時迷惑をかけた人達に申し訳ないと思う。卒業してから30年近くたった。あの当時知り合った人達は今どうしているのだろうとふと思うことがある。

小説や映画などで、よく描かれる題材にリテイクものがある。主人公が過去に戻って人生をやり直そうとする話である。自分に問いかけることがある。(もし大学時代に戻れたら色々とやり直そうとするだろうか)と。
答えは否である。色々と失敗や自分の中での葛藤など、無駄にもがいていたような大学時代だが、それでもその時の自分があるから、今の自分がいると思う。やり直すようなことはしないと思う。衣笠で過ごした4年間はかけがえのない日々だったと心から思っている。

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