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末川総長に教えられた平和と自由と民主主義

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大草 仁さん
1965年卒/法学部
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2018.3.2
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末川総長に教えられた平和と自由と民主主義

私は昭和33年(1958年)に家庭の事情で九州の宮崎県都城市から京都の立命館高校に入学し、その入学式の時に初めて末川総長のお話を聞きました。その後3年間入学式と卒業式のたびに総長のお話を聞いてきましたが、必ず話題にされたのは、「平和の大切さ」でした。これがきっかけで昭和18年生まれの私は母に戦争の話を聞くようになり、空襲警報が鳴る度に2才の私を抱いて防空壕に逃げ込んだこと等を聞かされ、サイレンの音がすると防空壕に連れ込まれていた記憶がかすかに蘇ってきました。また都城には旧陸軍の連隊場があったせいか、昭和25年に小学校に入学した頃にはまだ通学道に戦車の残骸が放置され、学校帰りの道草の遊び場になってたことも想い出され、もし立命館高校で末川総長の話を聞く機会がなければ、今まで親に戦争の話を聞き、通学路の戦車の残骸を想い出すこともなかっただろうと思います。
そして昭和36年に立命館大学法学部に入学し、専門科目の憲法講義より、1回生の一般教養科目の末川総長の「法学」の講義で、京大滝川事件に遭遇された経験や学徒出陣等を題材に、人類の普遍的価値とも言える、言論と学問等等の自由や平和と民主主義の大切さを教えられ学んだように思います。
また毎年12月8日に広小路キャンパスの研心館前の「わだつみの像」の前で行われる、「不戦の集い」での末川総長のお話も欠かさず聞いたことを想い出します。末川総長の講義や講演スタイルは三つ揃えの背広にネクタイをしめ、チョッキのポケットに左手先を入れ、明治生まれの英国紳士然とした姿で、いつも穏やかに、しかし反戦の話はいつも厳しく話されていました。そして「不戦の集い」では二度と戦争をしてはならない、させてはならないとの思いで、必ず京大滝川事件や学徒出陣の話をされていたように思います。そのような中、昭和38年11月の衆議院総選挙で自民党が圧勝した年の12月8日の不戦の集いでは、この勢いで将来自民党が衆参で3分の2の議席を占めたら、必ず憲法第9条を改正し、戦争を可能とし、徴兵制が復活されるという話をされたことを鮮明に覚えています。それが今、自民党安倍政権下で、「集団的自衛権」が解釈改憲され、現実になりつつあることを思うと、約55年前の末川総長の予言が的中したようで、改めて末川総長の洞察力と 慧眼に驚かざるを得ません。今、自分も当時の末川総長と同じ年頃になり、日本政治の現状を見た時、不戦の集いで「平和と 自由と反戦」を訴えられた末川総長の意思が立命館に絶えることのないように願ってやみません。

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