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秘蔵の一夜 ~セピア色の思い出~

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髙田 朋男さん
1978年卒/経営学部経営学科
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2018.8.3
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秘蔵の一夜 ~セピア色の思い出~

どうしたら女子が参加してくれるのだろう。このまま誘っても来てくれそうにもない。それに女子抜きで、学園祭に参加しても一向に盛り上がらないし、模擬店の段取りも男ばかりでは心もとない。俺は一体どうすればいいのだ!
昭和51年4月、K先生のゼミの日が訪れ、初の顔合わせということもあり、少々緊張気味に参加した初授業の時だった。いきなりゼミ長を誰がするのかということになった。“我こそは”という者が名乗りをあげることなどなく、ジャンケンに負けたものがすることになったである。一回目のジャンケンは約20名のゼミ生を5つのグループに分け、最後には5人で誰かに決める。そういう段取りで事が進み、ジャンケンに弱かったせいで、まったくやる気のない私がとうとうゼミ長になってしまった。
それ以来、なった以上、ひとつぐらいゼミ長らしき事をしたいと思っていた。そこに秋の学園祭にゼミ単位で模擬店を出すなら大学側から支援が得られるというチラシが配布されてきたのである。
これだ!これがいい。これならみんな喜ぶ。だが、肝心の女子三人が参加してくれるだろうか。ほとんど話したこともなく、断られるのが火を見るより明らかだと思った。そこで一計を案じることにした。
ゼミ一番、否、学部一のハンサムボーイであるT君(北海道出身)が参加すれば、きっと女子3人もスタッフとして参加してくれるにちがいない。「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」と言うではないか。誰が見ても、T君はハンサムという言葉が最もよく似合う学生で、もちろん女子学生にモテた。そしてT君、O君(群馬県出身)、M君(大阪府出身)らに予め声をかけ、根回ししたうえで、ゼミ内でスタッフを募ったのである。
見事、目論見は成功した。我がゼミのマドンナ三人が参加することになったのだ。これで成功はほぼ手中にしたと思った。案の定、男子学生もやる気が出てくるし、マドンナたちはT君の周りに寄り添い笑顔が絶えない。みんな和気あいあい、楽しくなると模擬店の運営もスムーズとなり、早々と売り切れとなった。私にとっては、ゼミ一番の思い出である。
それから数週間後だっただろうか、T君の下宿でお酒とおつまみを持ち込み、話し明かそうということになった。今となっては、何の話をしたのか、思い出せないが、この4人で夜遅くまで楽しく語り合った。2時近くになった頃、もうそろそろ寝るか、そういう具合になったのだが、寝る場所をどう確保するかが、超難問だった。なんとT君の部屋は4畳弱と狭く、極端な長方形になっていたからである。横に並ぶと足が壁にぶつかる。仕方なく縦に寝るしかなかった。すると今度は、部屋の幅が狭いので肩と肩とを押し付け合いながら寝る格好となった。いまでもその時の両肩の感触が忘れられないでいる。いずれも温かい友情を感じた、セピア色の一夜の思い出である。

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