2019年 立命館大学校友会は設立100周年を迎えます。

Alumni

つながる

みんなの思い出

友人・恩師・クラブ・キャンパスライフ…
校友だから共感できる!
そんな学生時代の思い出をのぞいてみよう。

投稿受付中!

立命大法学部井戸田会の思い出

name
小林 祥造さん
1959年卒/法学部
post
2018.8.20
Twitter Face book

SHARE

立命大法学部井戸田会の思い出

井戸田侃先生は昭和30年3月、司法修習生を終了されるとその4月より佐伯千仭先生の法律事務所で弁護士活動を開始された。同時に4月より立命館大学法学部に奉職された。
私も昭和30年3月、紫野高校を卒業するとその4月、立命館大学一部法学部に入学した。
昭和8年の京大事件以来、私が入学した当時においても立命大法学部は東京大法学部と並んで法学界の二代権威と称されていた。
そのような立命大法学部のスタッフの優秀な先生方に憧れて入学した。
二回生になると佐伯先生の刑法総論の授業に出席させて貰った。京都西陣の六軒町仁和寺街道下るに公衆便所が在って、その前で一人の少年がちんぴら一人にナイフでグサッと刺され、便所で用を足して出てきたところを刺したちんぴらとは全く関係のない三人組の不良少年に袋叩きにされ死亡した。死亡の原因は刺されたことによるものなのか、袋叩きによる出血多量によるものか、この五番町事件、今京都地裁で争われている。佐伯先生の素晴らしい講義だった。法は決して国民に怯懦を命ずるものではない。この先生のお言葉には82歳になる今も肝銘している。
井戸田先生の独書購読の授業には三回生、四回生の二年間出席させていただき勉強した。偉大な刑法学者リストの根本的思想を究明するため(F.V.Liszt, Der Zweckgedanke im Strafrecht)を学生が輪読して、必要な時には先生がその内容を説明してくださる方法で進められた。受講者には相当高い独語の力が必要であった。
同じく三回生、四回生の二年間、井戸田先生のゼミ刑法演習にも入れてもらった。テキストは三回生では日本刑法学会編刑法演習総論が、四回生では同じく刑法演習各論が使われた。テキストの各問題について先生のご説明のあと個々の具体的事例に対する刑法適用を考え刑法理論に対する理解を深めるため順次例題を検討する方法で進められた。
三回生では宮内裕先生の刑法各論、刑事政策、平場安治先生の刑事訴訟法にも出席した。
三回生の昭和33年3月、井戸田先生もお迎えして一年間共にゼミで勉強した四回生の追い出しコンパを寺町のスター食堂で開催した。
立命大法学部井戸田会結成の折は伊吹邦彦氏が初代会長で私は副会長を務めた。二代目は市田幸雄君、三代目は一岡隆夫弁護士が会長を務めてくださった。立命大校友大会、法学部同窓会、法学部井戸田会には井戸田先生は殆ど毎回ご出席賜り皆勤に近い状況であった。井戸田会では私はいつも角帽、白手、真っ赤な扇二本を両手に校歌、応援歌、寮歌のリーダーを演じたものである。
平成11年10月、私が法務大臣表彰受賞の折には井戸田先生の温かいお祝いの言葉を頂戴し、平成22年11月瑞宝双光章受章に際しては祝賀会に井戸田先生は来賓として京都府知事山田啓二様、京都市長門川大作様等と共にご臨席賜った。平成29年8月26日開催の井戸田会偲ぶ会には立命館副理事長・名誉教授・弁護士の久岡康成先生、井戸田先生のご長男井戸田耕二様、ご長女豊福由香様もご出席くださった。

↑