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永井外代士教授の「分析化学ゼミ」での思い出

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冨田 正敏さん
1973年卒/理工学部化学科
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2018.8.20
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永井外代士教授の「分析化学ゼミ」での思い出

当時の「分析化学ゼミ」には20人近くの学生がおり、そのほとんどが気の合った仲間だった。所属するゼミの選択時、人気があった「有機化学」、「生物化学」、「高分子化学」等のゼミは成績により足切りがあったが、「分析化学」のゼミの説明をされた永井教授の「分析化学希望者は必ず受け入れます」の一言で、気の合った仲間と大勢で「分析化学」を希望して全員受け入れて頂いたことを思い出す。全ての研究機関において分析化学なくして日本の科学研究は成り立たないほど、重要な分野であったことを卒業後に思い知り、永井教授の「将来必要とされる化学技術を様々な学生の視点で考察して欲しい」との考えからだったのかと回顧している。
ゼミでの研究課題はさておき、様々な学生の視点を求められたことに応えるかのように、最後の大学生活である4回生を有意義に、お互いの心にしっかり記憶を残すのも大きな目標にゼミの仲間と意識を共有し、何かを「やるぞ!」の号令ひとつで皆は動いた。
夏のゼミ旅行は、「よし!黒部ダムへ行こう」の一言で2泊3日の旅行が即決定。信濃大町の旅館では、花火大会が目前に見えるのに、部屋で「ポン、チー」のマージャン大会。翌日、黒部ダムを見学して2泊目の宇奈月温泉のホテルでは朝まで乾杯。楽しい旅行に、「ゼミでこんな旅行は初めてだ」と永井教授を驚かせた1回目。
次はクリスマスパーティー。ゼミの仲間はほとんどが地方の出身で、ゼミで忙しく?全員彼女も無くて、クリスマスとは縁がなく、「ゼミでクリスマスパーティーをやろう!」の一声で準備開始。誰が言うでもなく「実験室でやろう!」と決定。教授には内緒で会場が出来たら、ごり押しでお願いする事にして!早速、ケーキ、お酒、飾りつけなどを買いに全員が走る。手のすいた者はフラスコ、ビーカー、シャーレなどを丁寧に洗う。準備が出来、永井教授や松田十四夫助手にお願いすると永井教授「いいでしょう、でも、こんな実験室のパーティーは初めてや」と驚かせた2回目、笑顔だった。いよいよ、ビーカーで乾杯、フラスコのウイスキーで水割り、シャーレでケーキなど。奇想天外なパーティーの思い出からは、今でも先生方や仲間の笑い声が聞こえてくる。
さて、最後は山陰方面へ出かけた卒業旅行。当時の国鉄が順法闘争とやらでダイヤはでたらめで鳥取で足止めを喰らいながらも、たくさんの思い出と共に帰京、解散。そして、それぞれが就職や進学へ旅立った。あの卒業旅行でのハプニングは多くの事を許して頂けた学生の身分から、社会に出れば思いがけない困難に出くわすこともあるよとの暗示だったとも思える。
こつこつ実験を繰り返す日々に、時折気の合った仲間とのバカ騒ぎにもお付き合い頂いた先生方。今も心に残る私達の「分析化学ゼミ」は永井教授の「皆、まとめて面倒見るよ」の一言で始まった素晴らしいゼミだった。感謝。

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