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立命館大ワンダーフォーゲル会の創立とその後の歩み

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鎌田 克則さん
1960年卒/法学部
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2018.9.12
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立命館大ワンダーフォーゲル会の創立とその後の歩み

大学入学式の日にたまたま出会った同じ高校の卒業生2人に声をかけ、数週間後の1956年4月27日、新入生3人で朝から校内にワンゲル会員募集の大きな模造紙を何枚か貼り出し、同じ文言のガリ版刷りのビラ4000枚を、3日間、校門前でバラ撒いた。そのビラに載せた文言が残っている。

「みなさん!この度一回生が数人集まって立命ワンダーフォーゲル会という新しいクラブを結成しました。ワンダーフォーゲルとは渡り鳥の意で、青年男女が簡素な支度で野山を渡り鳥の様に渡り歩き、健康と生命力にあふれた人生の一刻を満喫する世界的な運動です。私たちはこの素晴らしいクラブを立命にも作り、色々のプランを実行して、皆さんと共に、この大学生活をより楽しく送りたいと考えています。(後略)」

何故これほど詳しく記せるのかと言うと、後に発行された立命ワンダーフォーゲル会の機関誌「漂雲」創刊号と、OB会のホームページに創立事情が記録されているからだ。
さて、呼びかけに応じた学生は100名近くであった。先輩達もいた。早速次の日曜日には奥比叡、ポンポン山、奥伊吹等々に、そのうち他大学にも呼びかけ、夏に妙高高原、次の年には北海道まで出かけた。2年目には会員も200名ぐらいまで増えた。
組織としては常連と称する10人ばかりのメンバーが中核となり、存心館地下のうどん屋の隣に陣取って、毎日新たな情報交換と計画の立案、山野彷徨の話に明け暮れた。未知のトレイルを求めて、山岳部でもない、ハイキングでもない、自然と合一する新たなジャンルを開く思いであった。
創立期メンバーはワンゲル一色で青春を謳歌し卒業したが、その数年後の1962年、伝統を引き継いだ活気ある後輩たちが誰の援助を受けることなく自ら資金を集め、労力知力を結集して、雲取山の二の谷に立派な山小屋を完成させた。彼らなりにワンゲルを進化させ、新たな境地を開いたのだ。その小屋は後輩らの努力により長く維持管理され、正式にOB会が出来た2010年以降は小屋委員会に引き継がれ、毎年春秋にワークキャンプと称し30人近くが泊まり込みでメンテナンスを行っている。小屋本体は勿論、炊飯棟、本職OB宮司により遷座祭をすませた神社、テラス、トイレ、ドラム缶風呂、それに駐車場から30分の谷道までを整備し、お陰で二の谷全体が素晴らしい自然環境にある。清き水で飯を炊き、持ち寄った食料を加工し、一杯飲みながら一夜を明かす楽しさは、他に代え難い。それが何時でも可能なのだ。
OB会は数年おきに総会を開き、昨年は花背交流の森で現役を含め盛大な創立60周年大会を開催した。
10年ほど前、名簿を五十音順に並べ替えた。すると、同じ苗字、住所のカップルが13~14組いて驚いた。告白すれば、私の家内もワンゲル計画の参加者の一人。入学当初の思い付きが図らずも私だけでなく、同期生や大勢の後輩の人生を豊かにしたと思える、この上なく嬉しい出来事であった。

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