友人・恩師・クラブ・キャンパスライフ…
校友だから共感できる!
そんな学生時代の思い出をのぞいてみよう。
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校友だから共感できる!
そんな学生時代の思い出をのぞいてみよう。
思い出深い、忘れられない下宿
私が4年間を過ごした京都の下宿は右京区にあるお寺でした。とはいうものの決して出家や修行に入ったのではありません。お寺さんが2棟のアパートを運営していたという話です。けれどもやはり普通とは少し趣が違うところが一杯ありました。
当時はまだ学生アパートのほうに風呂はなく、大家さんであるご住職さんのお住まいのお風呂を使わせてもらっていました。もちろんご住職さんご家族がお風呂を終わられてからのお声掛けです。アパートには当然4回生から1回生まで居住しており、お風呂はその時に居る上級生からと決まっていました。だから上級生がみんな帰宿していると1回生に順番が回ってくる時間は23時から日が変わる頃になる時もありました。しかもこのお風呂というのがいわゆる『五右衛門風呂(!)』、薪をくべ鉄釜を熱して湯を沸かし落し蓋を踏んで入るものです。追い炊きなんてありませんから、たまたまたくさんの学生が入浴をしていくと掛け湯でどんどん湯量が減っていき、下級生の順番の頃には落とし蓋に座っても湯が腰高くらいまでしか残っていなくて、止むを得ず「カエルが腹を見せて水面に浮かぶような」格好で浸からないと肩まで浸かれない事もありました。火も落ちてぬるーい湯の時もありました。だから上級生がたくさん帰っているなと分かると、あきらめて銭湯に向かった事もしばしばでした。それでも後にも先にもこのような風呂に入る機会は得られず、時々はツライなと思う事があっても今では懐かしく思えてなりません。
10数年後だったか久々に下宿を訪ねた時ご住職さんの奥様(お庫裏さん)が「今はアパートの倉庫を改修してユニットバスをつけたのよ。今の学生さんにはああいう事はもう無理みたいね」と寂しそうにおっしゃっておられたのが耳に残っています。
もう一つ忘れられないのは太秦の映画村や嵐山(大覚寺)が近いせいかウチのお寺の境内で映画のロケを時々され、(無料で)役者さんに会えた事でした。「必殺シリーズ」や「銭形平次」「江戸を斬る!シリーズ」等当時懐かしいドラマ等の撮影が行なわれ、三田村邦彦さんや伊吹吾郎さん、大川橋蔵さん、松坂慶子さんら有名な役者さんたちがすぐ目の前で演じまた休憩をされている景色を見て『異空間』に来ているような思いにならずにはいられませんでした。
4年間この下宿から引っ越さなかったので他がどうなのかは分かりませんが、ウチの下宿は下宿生みんながとても仲良く、部屋に鍵を掛ける者もなく、本当に(昭和の)家族的だったように思います。アパートの部屋の窓にはヤモリがへばりつき、まさに私たち学生を守ってくれていました。忘れられない、思い出一杯の大好きな下宿でした。今ご住職さんとお庫裏さんはこの寺を子どもに譲り、自分たちは松尾のほうの別のお寺にお元気でいらっしゃいます。また会いに行きたいと思っています。