2019年 立命館大学校友会は設立100周年を迎えます。

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贅沢な通学路

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中尾 拓真さん
2002年卒/法学部法学科
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2017.9.19
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贅沢な通学路
 
 埼玉県出身の私が、中学時代に修学旅行で訪れた際に観た京都の風情ある町並みに感動して、地元の関東ではなく京都にある立命館大学へ進学し、上京区千本今出川の下宿に引っ越したのは1998年の春の事でした。法学部のある衣笠キャンパスへは、下宿から自転車で15分。千本今出川から西へ、観光客で賑わう北野天満宮前を横切り北野白梅町まで行き、そこから西大路通を北上して平野神社前を西へ曲がり、小松原郵便局の横を通り大学東門から入るというのが、当初の通学路でした。
 しかしある日、地図を観ていて「花街である上七軒を経由した方が距離的に近いのではないか」と思い立ち、千本今出川から上七軒へ、上七軒の花街に沿って斜めに北上し、北野天満宮の裏を通り、平野神社経由で大学へ行ってみたところ、北野白梅町から平野神社前までの地味にきつい上り坂を通らないため疲労が少なく、しかも観光客でごった返す北野天満宮前や北野白梅町のバス停を避けられるため既存のルートより5分ほど早く辿り着ける事が判明。以後はその上七軒ルートを「ワープ」と呼び、通学路に使用しました。
 このルートは偶然にも実に京都を満喫出来、例えば上七軒を通れば歌舞練場へ稽古に行く舞妓さんや仕事へ向かう芸妓さんを何度も登下校時に目撃出来、また、毎月25日の「天神さんの日」に北野天満宮裏を通ると「天神市」という骨董市で賑わう様を目の当たりにする事が出来ました。
 北野天満宮や平野神社の前を通れば、冬は菅原道真公ゆかりの梅を、春は花山天皇ゆかりの桜を堪能出来、また毎年12月下旬の日曜日に西大路通沿いに立てば、全国高校駅伝で都大路を疾走する選手達を間近で観る事が出来ました。
 大学の定期試験の時期になると、取り敢えず北野天満宮へ毎回お参りに行った事(天神様の御利益の御蔭か、4年間で無事卒業)、平野神社で花見をした事や振られた事、通学途中にあった小松原児童公園でサークルのバーベキュー大会をした事、上七軒の雰囲気あるビリヤード屋で遊んだ事や、テレビの撮影現場を何度も目撃した事等々…通学路の思い出は他にも尽きません。
 「京都の大学生だったからこそ経験し、感じられた贅沢」を味わった日々が、今でも私の良き思い出として心に深く残り、また日々の活力となっています。大学時代の思い出の一端として京都の美しい風情を語れるのは、京都にキャンパスのある大学に通った者だけの特権。そういう意味で、進学先に立命館を選んで良かったと思っている校友は私だけではない筈。もうすぐ校友会設立100周年だそうですが、そういう(京都に憧れ上洛した地方民の)想いの積み重ねも伝統となり、迎える100周年だという事を、一地方出身者として主張したい今日この頃です。

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